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するものと考えられる。このような過程で窒素化合物循環が行われているとすると、夏期のアンモニア態窒素の濃度分布は、かなりの高濃度を示すはずである。しかし、底泥において生成されるNH+4-Nはその一部で、他の部分は底泥に吸着される。この吸着部分の溶存部分に対する比率は間隙水の塩分濃度が低いほど大きい。すなわち、塩分濃度分布からも分かるように夏期は降水により塩分濃度が0.5%前後の低濃度となり、生物郡によって生成されたNH+4-Nは底泥に吸着され、間隙水中のアンモニア態窒素の濃度が低下し、見かけ上の濃度は安定した形となったものといえる。このように栄養塩濃度の変化は気温や降水量および塩分濃度と密接な関係をもつ。

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Fig. 10 Temporal and seasonal variations of the nutrients with depth, salinity, and weather conditions

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Fig. 11 Variation of nutrients with depth and time

4. 栄養塩の溶出速度
各栄養塩濃度の鉛直分布の濃度勾配(Fig.10〜11)より、NO-2-N、NO-3-N以外は、上層部、下層部の濃度格差が大きいため、濃度勾配に基づく拡散作用によって鉛直方向に移動し、海水中に溶出するものと考えられる。そこで次の拡散方程式に従い5cmと10cmの濃度格差による溶出速度Rを算定した8)。なお、全窒素の溶出速度と全リンの溶出速度の合計を栄養塩の溶出速度としてFig.12にまとめた。

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ここに、C10:深度10cmの栄養塩濃度、C5;深度5cmの栄養塩濃度、△l:5cm,D:拡散係数(1.0×10-6cm/sec)

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Fig. 12 Elusion velocity of nutrients

5. 潟土の反射特性
沿岸干潟域の地表面を被覆する表層土の種類や分布状況は、この海域の潟上水分移動や蒸発散といった水と熱の収支に非常に大きな影響を及ぼしている。したがって、これらのデータを収集するため種々の土壌を用いて潟土の反射特性からリーモトセンシングデータを有効利用する方法を考えた。まず、反射率R(λ)は波長別光エネルギー分析装置より反射電磁波エネルギーを測定して次式

 

 

 

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